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2006年2月10日 (金)

「余計な修飾語」講座

 昔の自分の書き込みを読んでいたら、非常におもしろいことが書いてありました。我ながら感動しました。これは高校生クイズに出ようという人にはかなり役立つと思います(今年以降も高校生クイズがあるなら)。94年に書かれたもののようです。

−−−−(ここから当時の引用)−−−−

満1歳を迎えた人気のJリーグ。地元チーム・名古屋グラパスエイト、清水エスパルス、
ジュビロ磐田の選手124人の中で一番多いのは、夏場に強い7月生まれである。

今年の中部大会の第1問です。これについては以前の記事で、もってまわったような
言い方で触れたこともあり、また、事前番組でも、いかにもパターンと異なる問題
という感じで採り上げられていましたので、きちんと解説しておきたいと思います。

この問題文にある「夏場に強い」は、いわゆる「余計な修飾語」ではありません。
そのことを長々と説明していきます。

高校生クイズにおいて、「Aの中で一番BなのはCである」というタイプの問題が
出た場合、基本的には正解はYESです。
この問題でYESを選ぶ場合、Cという可能性1つに賭けるのに対して、
NOを選ぶ場合はC以外のすべてのAの要素に賭けるわけですから、
当然NOの方があり得そうな気がします。
だから出題側は、正解をYESにしておくのです。

言い換えると、このタイプの問題で正解をNOにするときには、何らかの理由が
あるということになります。その理由を列挙していきます。
1 普通の人が、Aで一番なのはCだろうと常識的に思うような場合。
 例:日本の銀行の中で、最も資本金が多いのは、日本銀行である。
 「余計な修飾語」がつくのはこのパターン。というか、「余計な修飾語」をつけて
 このパターンに持ち込む。
2 正解をYESにしようとすると、Cの部分に極めてマイナーなものがきてしまう
  場合。
 例:パスポートを日本で一番初めにとった人は、あの伊藤博文である。
 実際は江戸で浪五郎、神奈川で房吉という人が同時にとったらしい。
 この事実で、正解がYESの問題文にするのは不可能である。
 この問題は、一番が1つではないという理由でもYESにできないわけで
 「YESにしようとすると問題文が成立しない」という仲間として
 ひとくくりにできる。
 今年の全国大会の一回戦のYES−NOの一問目はまさにこのパターン。
3 正解をNOにした方が、問題文がおもしろくなる場合。
 例:「長崎は今日も雨だった」という歌がありますが、1時間あたりの降水量、
   日本一の記録は、やはり長崎にある。
 このパターンには、先に問題文を思いついてから正解を調べたというケースが
 多いだろう。
 「日本で一番たくさんとれるお米の銘柄はササニシキである」という問題が
 仙台市で出題されるのも、この仲間だと言える。
 また、「…で一番…」というタイプ以外にもこのパターンは応用できる。
 今年の全国大会の決勝の「ドナルドダックはトリ年生まれである」というのは
 その典型(なお「ミッキーマウスはネズミ年生まれである」というのは
 第1回ですでに出ている)。

こういった理由がどれも当てはまらなければ、YESを選ばざるを得ません。
例えば「昨年(1990年)、近畿ブロック2府4県で最も多くとれた野菜は
タマネギである」という問題。なぜ「タマネギ」なのでしょうか。
まさか参加者が「大阪の泉南の方にはタマネギ畑が広がっているから
きっとそうだろうな」などという知識を持っているとは思えません。

最初の問題に戻ります。12の月のうち、なぜ「7月」なのかがわかりません。
予選当日が7月だからか? そんな理由では弱すぎます。
例えばもしJリーグに「ジュライーズ」というチームがあって、
そのチームのメンバーで最も多いのは7月生まれであるという問題が出れば、
これは3のパターンでNOだと考えられるでしょう。
しかし冒頭の問題では、1月から12月まではすべて中立であって、
7月を選ぶ必然性がありません。だからこの問題はYESです。

では「夏場に強い」は何のためについているのか?
このフレーズがついているから参加者が「確かにそうだから7月だろうな」と
思うとは考えられません。この修飾語にはまったく説得力がないのです。
つまり、これは、YESに行かせようという「余計な修飾語」ではありません。
このフレーズは「問題文を成立させるため」についています。
「Jリーグの3チームの中で最も多いのは7月生まれである」だけでは、
余りにもヤマカンだけの問題という感じがしてよくない
(「…野菜はタマネギである」といった問題に比べて、「月」の場合は
「7月」と他の要素が全く等価なので)。
だから「7月を選んだのには一応理由があるんだよ」ということで
ついているのです(もし8月が最も多ければ、「夏場に強い8月生まれである」
としていたことでしょう)。

このようなタイプの修飾語がついている問題としては例えば昨年の関東の
「日本の人口を十二支で分けると、最も少ないのは、今年の干支と同じ酉年である」
というのがあります(「今年の干支と同じ」というフレーズは、本に載るにあたって
削除されている)。

−−−−(ここまで)−−−−

 補足しておきますと、昔は、Cの部分が「アメリカ」という言葉の場合、「君たちの目指す」という修飾語をつけることによって、何でも問題文として成立させることができました。

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コメント

立て続けで、なおかつ以前の書きこみに対するコメントで恐縮ですが、
実は、最後に書かれている十二支の問題に関しては
印象的な出来事があります。

この問題が出された瞬間、
たまたま近くにいたこの回の僕のチームメイトの友人(別の高校)が
「NOだよ。ひのえうまがあるから(午年が一番少ない)」
僕らはこの説をすっかり信じてしまい、NOに行きました。
しかし、正解はYES。

幸い、栃木は全チームがNOだったため、事無きを得ましたが、
(全体的にYESはごくわずかでした)
もしこれで失格になっていたら
かなり後悔していたことでしょう。

投稿: はらけん | 2006年2月15日 (水) 01時01分

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